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末梢神経障害の痛みに対する治療例 〜モートン病〜

[2023.05.14]

30歳代の女性の方が、歩く時・走る時に右足・第3~4足趾間に強い痛みあって辛いとご受診されました。翌月から育休が明けて職場復帰されるご予定で、職場のシューズを試着したら痛みが増悪し、復帰前に何とかしたいとご希望でした。

足趾へ向かう末梢神経が絞扼されて足趾間に強い痛みや灼熱感を呈する「モートン病」を疑いました。痛み治療として、文献的には、神経破壊薬の注入や熱凝固法、パルス高周波法による治療例が報告されています。組織変性・損傷を伴わないパルス高周波法は、予期しない合併症のリスクが極めて低く、かつ、有用な治療戦略です。

当院では、最新型のリージョンジェネレーターを導入しており、高電圧・高頻度のパルス高周波治療を行うことができます。圧痛点を同定して超音波走査を行い、伴走動脈を同定します。このレベルでは、超音波だけで神経を確実に同定することは難しいです。そこで、電気刺激を使って確実に神経を同定します。皮下を局所麻酔した上で、先端にだけ電流が流れる特殊な穿刺針を慎重に進め、近傍で微弱な電流を流します。わずか0~1mmの範囲を慎重に探って再現痛を生じる部位を同定し、5Hz・70Vで15分間パルス高周波治療を行いました。滋賀医大では、機械の設定上、2Hz・45Vで3〜5分間治療するのが標準でしたが、例えば帯状疱疹後神経痛に対する治療では、高電圧・高頻度のパルス高周波の方がより効果が強いことが示唆されているため、現実的に可能な時間でなるべく長く治療を行いました。

日常生活や仕事に関連して誘発される痛みは、自分らしい生活が損なわれてしまうのではないかという不安をも伴うものではないでしょうか。このような治療法をご指導いただいた滋賀医大の先生方にも、改めて感謝申し上げます。

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