末梢神経障害に対するパルス高周波法~外傷の1例~
料理の際にナイフで指の付け根を深く切ってから、半年ほど経過しても受傷部以遠にピリピリした違和感が持続すると訴える患者さんが当院を受診されました。この痺れ感について他院で相談したところ、2-3ヶ月すれば自然に治ると説明されたけれど、症状に変化がないため何か治療法がないかと当院をご受診されました。
指は4本の細い神経が感覚を支配しています。傷跡直下の神経の支配領域の触覚・冷覚が低下しており、神経障害性疼痛(神経が傷ついたことが原因で、感覚の低下や異常感覚を生じる病態)をきたしていると考えました。
治療の選択肢の一つとして、パルス高周波法での加療をご提案しました。同様の病態に対してパルス高周波法の有効性を示すエビデンスが蓄積しているわけではないが、末梢神経の神経障害性疼痛をきたしていると考えられるので、経験レベルではあるがパルス高周波法での治療を試してみる価値はあることを、考えられうる合併症とともに説明しました。患者さんは治療をご希望されました。
一週間後再診していただいたところ、日常生活で違和感を感じることは無くなり、意識的に別の指先と密着させると感覚が少し違うかなと感じる程度になった、とのことでした。経過のフォローは必要ですが、末梢神経障害に対する痛み治療法としての可能性を示唆するケースだと考えます。