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手術後の痛み(開胸術後疼痛症候群)

[2023.11.16]

手術後に、手術創は綺麗に治っているのに、痛みが残存することがあります。神経障害性疼痛と言って、損傷を受けた神経の支配領域に一致した痛みを認めます。「針を刺すような」「ビリビリするような」痛み、あるいは触れただけで痛むような、大変不快な痛みを呈します。

10年前の胸腔鏡手術後の痛みが残存し、あまりに痛みが持続するために全身倦怠感を伴って大変困っていらっしゃる方が当院を受診されました。波はあるものの、特に季節の変わり目には症状が強く出る傾向があるとのことでした。

詳しく診察してみると、痛みの部位が胸腔鏡手術の器具を入れるためのポート挿入孔である第六肋間の神経の走行部位におおよそ一致していました。随分と時間が経っているので、どの程度効果があるか予想するのは難しかったのですが、神経根ブロック・パルス高周波法での加療が症状を軽減する可能性があるとご提案しました。少しでも良くなる可能性があるならとのことで治療をご希望されました。

第六胸髄神経根ブロックを施行したところ、数日間症状が緩和し、一週間後にもう一度神経根ブロックを施行すると疼痛のピークが減じるなどの効果が確認できました。そこで、同神経根に対してパルス高周波法を施行したところ、初診の頃と比べて痛みが半分くらいになったとのことでした。日によって波があるものの、パルス高周波法での治療の後、特に1週間から10日ほどは、はっきりと痛みが緩和する効果が実感できるそうです。現在は治療3ヶ月目ですが、月に一回保険適応されるパルス高周波法と、1−2週間に一回程度の神経根ブロック治療を組み合わせて通院していただいています。

パルス高周波法での加療は、繰り返すことで徐々に疼痛が緩和されていくことがあります。適応を慎重に判断する必要があるのはもちろんですが、少しでも楽しく生き生きと過ごしていただける時間を提供できるように、当院では難しい治療であっても積極的に取り組んでいます。

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